【音読】美濃部達吉『憲法講話』第七講「行政作用」三. 行政の制限~四. 訴願および行政訴訟

国家権力は何でもやっていいわけではなく、法律によって縛られるという話。

偶然っぽいんですけど、国民の移動・居住の自由を保障している条項は、新旧どちらの憲法でも第二十二条なんですよね。現在の日本国憲法では外国への移住や帰化の自由も明記しています。明治の大日本帝国憲法では、職業の自由については書かれていません。第十九条で公務員になれることは書いてるんですけど。

これは、職業の自由が無いわけではなく、わざわざ書かなかったということだそうです。婚姻、契約、職業、営業、教育、学問の自由や、肉体の不可侵などは憲法に書かれていないが、書かれていないことを政府が無制限に拘束できるわけではなく、法律・命令・その他の法規に依らなければならないのは立憲国における当然の原則とされているとのこと。

なので、新旧で第二十二条で保障されている権利は同じだと思いますが、制限の仕方は大きく違うようです。現憲法は「公共の福祉に反しない限り」、旧憲法は「法律の範囲内において」。「公共の福祉」だと時代に合った常識感覚を反映させやすい反面、曖昧で不公平感が出やすく、一時期の偏った価値観が反映されてしまう惧れがある。「法律の範囲内」だと根拠が明確で公平な判断がしやすい反面、法律一つで権利の保障が反故にされてしまう惧れがある。と、素人なりに考えてみました。

第九講の(下)は「国民の権利義務」になってるので、そこで詳しく説かれていると思います。

本筋からちょっと逸れてる感がありますが、とりあえず、立憲国の行政は法治主義で行うというお話。

 

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ここから動画の目次です。

00:00 美濃部達吉憲法講話』第七講「行政作用」
          三. 行政作用の制限
01:16 行政は法律に抵触するを得ず
02:03 行政は命令をの他の法規にも抵触するを得ず
04:19 法規に基くにあらざれば臣民の自由を侵すを得ず
07:52 各機関の権限内なることを要す
08:24 公益に適することを要す
09:49 不法の行政作用
12:36 不法行政に対する救済手段

13:58 四. 訴願および行政訴訟
         訴願および強制訴訟の性質
16:32 両者の差異(イ)管轄官庁の差異
17:56 (ロ)心理手続きの差異
19:28 (ハ)実質の差異
21:21 権利の保護手段としての両者の効果
23:40 行政裁判制度
24:56 行政裁判を司法裁判より分離せる理由
29:42 行政裁判所の組織
30:17 参照
32:39 行政裁判と訴願との関係
34:27 行政訴訟提起の要件(イ)行政庁の処分
35:13 (ロ)処分の違法
35:34 (ハ)権利の傷害
36:24 (ニ)法律勅令によって出訴を許せること
39:36 (ホ)出訴期限
40:00 権利の障害無くして出訴し得べき場合