日本商船のモーリシャス沖重油流出事故経緯とモーリシャスについてまとめ

日本企業の貨物船WAKASHIO(わかしお)号が現地時間7月25日午後7時25分にモーリシャス沖で座礁し、悪天候により救助作業が難航する中、同8月6日午前8時から1000tを超える重油が流出した事故についてまとめました。(後で追記するかも)

まずは船の状況とモーリシャスについて。

 

WAKASHIO(わかしお)号の船要目と事故時点の状況

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WAKASHIO - 長鋪汽船株式会社

ばら積み貨物船(バルカー)」とは大量の資源を梱包しないで輸送できる船。「ケープサイズ」とは鉄鉱石以外も運べる貨物船のサイズの中で最大級の船型のことで、スエズ運河を通れない大型船が、喜望峰(cape of good hope)やホーン岬(cape horn)へ迂回していたことが語源だそうです。商船三井:暮らしを支える いろいろな船

中国江蘇省(上海のある浙江省の北隣の地域)で貨物を全て降ろし、シンガポール経由でブラジルへ向かっている途中でした。
座礁時点では船体に損傷はなく、燃料油流出の可能性は低いと見られていました。

 

モーリシャス共和国

位置と気候

モーリシャス共和国はアフリカ大陸南東部からマダガスカル島を挟んで東に位置する小さな離島国。フランスの海外地域圏レユニオン島の東175km。
手元にあった昭文社の『グローバルマップル世界&日本地図帳』(多分)2019年版から写真撮ってみました。3つ付けた赤い印の内の左下の印辺りです。

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【音読】美濃部達吉『憲法講話』第八講「司法」一. 司法の観念~二. 司法権の独立

行政と違って、殆どの人は司法にはあまり馴染みが無いですよね。ブログ主も読んでて現在との違いが判らなかったんですが、少なくとも当時は「(通常は)民事裁判と刑事裁判の二種の裁判のみを司法という」のであり、モンテスキュー三権分立の司法もこの意味だそうです。
ウィキペディアによると、現在の「実質的司法」には、行政裁判も含まれているそうです。司法 - Wikipedia

 

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【音読】美濃部達吉『憲法講話』第七講「行政作用」三. 行政の制限~四. 訴願および行政訴訟

国家権力は何でもやっていいわけではなく、法律によって縛られるという話。

偶然っぽいんですけど、国民の移動・居住の自由を保障している条項は、新旧どちらの憲法でも第二十二条なんですよね。現在の日本国憲法では外国への移住や帰化の自由も明記しています。明治の大日本帝国憲法では、職業の自由については書かれていません。第十九条で公務員になれることは書いてるんですけど。

これは、職業の自由が無いわけではなく、わざわざ書かなかったということだそうです。婚姻、契約、職業、営業、教育、学問の自由や、肉体の不可侵などは憲法に書かれていないが、書かれていないことを政府が無制限に拘束できるわけではなく、法律・命令・その他の法規に依らなければならないのは立憲国における当然の原則とされているとのこと。

なので、新旧で第二十二条で保障されている権利は同じだと思いますが、制限の仕方は大きく違うようです。現憲法は「公共の福祉に反しない限り」、旧憲法は「法律の範囲内において」。「公共の福祉」だと時代に合った常識感覚を反映させやすい反面、曖昧で不公平感が出やすく、一時期の偏った価値観が反映されてしまう惧れがある。「法律の範囲内」だと根拠が明確で公平な判断がしやすい反面、法律一つで権利の保障が反故にされてしまう惧れがある。と、素人なりに考えてみました。

第九講の(下)は「国民の権利義務」になってるので、そこで詳しく説かれていると思います。

本筋からちょっと逸れてる感がありますが、とりあえず、立憲国の行政は法治主義で行うというお話。

 

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【音読】美濃部達吉『憲法講話』第七講「行政作用」一. 行政作用汎論~二. 行政作用の形式的分類

第七講の前半を音読しました。七講目は現代の生活感覚でもなじみがあるものが多いですね。いや、徴兵制はありませんけどね。
縮刷版が出た大正七年なら不思議はないでしょうが、特許の申請とか商標登録、著作権もあったんですね。ちなみに、縮刷版出版の翌年大正八年に「ゼ・コカ・コーラ・カムパニー」が商標登録をしています。

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大正八年当時のコカ・コーラ社の登録商標

「カムパニー」は今時驚きませんが、「the」を「ゼ」と読むのは想定可能な想定外でした。
画像の全体はこちらから「商標登録」をクリックするとご覧になれます。
特許情報プラットホーム(コカ・コーラの商標)

 

なんとなく、ティッシュケースの広告を貼っときます。

 

他にネタになる広告探してたら、普通におしゃれなレトログッズが。1886年と1916年のブリキの看板みたいですね。

 

馴染みは無いけど気になったものも一つ。「公用徴収」は現代では「公用収用」というようです。ダムなど土木事業に必要な土地が主な対象だそうです。「強制売買」と言われることもあるが、「売買」はお互いが納得してすることだから変な言葉だと美濃部達吉は言っています。新コロ騒ぎで「自粛要請」とか「罰則付き要請」とかがツッコミ受けてるので、タイムリーな感じがしました。

コカ・コーラにそんなに食いつくことないよなあと思いつつ、今後も音読していきますので、聞いていただけましたら幸いです。

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【音読】美濃部達吉『憲法講話』第六講「行政組織」

二週間も空いてしまいましたが、なんとか第六講の音読をYouTubeに出せました。マイクの設定ミスで全部録り直しになったりしましたが、元気な心で読みました。

今回地方行政の章で気になる文章があったので、引用してみます。美濃部達吉地方自治の目的を二つ挙げ、多数党の利益の為に地方が犠牲にならないようにする為、「人民をして政治上の自覚心を起こさせる」為と説いています。「自治制度は立憲政治の欠くべからざる基礎」と言われているそうで、正直、「地方行政」と聞くと軽い感じがしてたんですが、甘ちゃんでしたわ~。

 

ただ日本の国民性でもありましょうか、または多年の歴史上の習慣によってここに至ったのでありましょうか、日本人は政治上の自由、独立を尊ぶの念が比較的に少ないようでありまして、自治制を施行せらるるに至ったのも国民自身の要求に基づいたよりも、むしろただ外国の制度に倣って、政府の側からこれを実施したので、その実施の結果は未だ十分にその目的を達することが出来ない状態にあるのは甚だ遺憾とする所であります。今日においても政府の側からは動(やや)もすれば必要以上に干渉を試みんとする傾きがあり、地方人民の側からはかえって政府に依頼して、せっかく自治権を与えられて居るにかかわらず充分にこれを利用することをしないというような有様でありまして、自治制の完全なる発達はなお将来に待たねばならぬようであります。

昔は村の自治が当たり前だったとも言いますけど、立憲国の政治ってなると大分勝手が違うんでしょうね。立憲国では、理念とは逆に、庶民が政治から離れるのは世界的な傾向なのではないか?と思ってるんですが、欧米では庶民の間にも明文法に基づいて議論・審議を経て決めるというのが、歴史の中にいくらかあるのかもしれないとも思います。日本で日常生活で政治を考える人を増やすには、かなり意識的に工夫する必要があるんでしょうね。ブログ主もニュースを見て色々腹立つことあるし、アメリカや中国やロシアの挙動に般若のような顔になることもあるんですが、「みんながみんな政治に興味持ってるって嫌だな」っていう気分もあったり……。あと、政治に興味を持って、政府に批判の声をあげてるようで、「政府に依頼」してる人民多いなとか……。あと、ロシアの憲法改正の時に安倍を叩くのはよくわかるけど、何でロシアに怒ってないんだとか……。
どうもまとまらないところにはまり込んでしまいましたが、第一講から音読してますので、聞いていただけると嬉しいです。

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