【音読】美濃部達吉『憲法講話』第六講「行政組織」

二週間も空いてしまいましたが、なんとか第六講の音読をYouTubeに出せました。マイクの設定ミスで全部録り直しになったりしましたが、元気な心で読みました。

今回地方行政の章で気になる文章があったので、引用してみます。美濃部達吉地方自治の目的を二つ挙げ、多数党の利益の為に地方が犠牲にならないようにする為、「人民をして政治上の自覚心を起こさせる」為と説いています。「自治制度は立憲政治の欠くべからざる基礎」と言われているそうで、正直、「地方行政」と聞くと軽い感じがしてたんですが、甘ちゃんでしたわ~。

 

ただ日本の国民性でもありましょうか、または多年の歴史上の習慣によってここに至ったのでありましょうか、日本人は政治上の自由、独立を尊ぶの念が比較的に少ないようでありまして、自治制を施行せらるるに至ったのも国民自身の要求に基づいたよりも、むしろただ外国の制度に倣って、政府の側からこれを実施したので、その実施の結果は未だ十分にその目的を達することが出来ない状態にあるのは甚だ遺憾とする所であります。今日においても政府の側からは動(やや)もすれば必要以上に干渉を試みんとする傾きがあり、地方人民の側からはかえって政府に依頼して、せっかく自治権を与えられて居るにかかわらず充分にこれを利用することをしないというような有様でありまして、自治制の完全なる発達はなお将来に待たねばならぬようであります。

昔は村の自治が当たり前だったとも言いますけど、立憲国の政治ってなると大分勝手が違うんでしょうね。立憲国では、理念とは逆に、庶民が政治から離れるのは世界的な傾向なのではないか?と思ってるんですが、欧米では庶民の間にも明文法に基づいて議論・審議を経て決めるというのが、歴史の中にいくらかあるのかもしれないとも思います。日本で日常生活で政治を考える人を増やすには、かなり意識的に工夫する必要があるんでしょうね。ブログ主もニュースを見て色々腹立つことあるし、アメリカや中国やロシアの挙動に般若のような顔になることもあるんですが、「みんながみんな政治に興味持ってるって嫌だな」っていう気分もあったり……。あと、政治に興味を持って、政府に批判の声をあげてるようで、「政府に依頼」してる人民多いなとか……。あと、ロシアの憲法改正の時に安倍を叩くのはよくわかるけど、何でロシアに怒ってないんだとか……。
どうもまとまらないところにはまり込んでしまいましたが、第一講から音読してますので、聞いていただけると嬉しいです。

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 ↓ここから動画の目次です。

 

00:00 美濃部達吉憲法講話』第六講「行政組織」
   一. 行政組織総論
00:55 行政権の中枢
02:22 中央集権と地方分権
03:20 中世における極端なる地方分権
04:33 近代における中央集権
07:39 日本の歴史における地方分権と中央集権
09:05 中央集権と地方分権とは畢竟程度の問題なり
10:13 現代における地方分権――行政上の地方分権
12:48 地方自治による分権

16:33 二. 中央官庁
   中央官制の沿革――太政官
18:36 明治十八年の官制改革
21:19 現行制度における中央政府の組織――国務大臣と各省長官
24:31 行政各部の組織
25:43 内閣総理大臣の主管事務
27:39 内閣総理大臣の地位
31:06 内閣
33:29 各省の部局および所属機関
36:01 独立の行政官庁
37:04 会計検査院の権限
39:19 参照
50:44 行政官庁の観念

53:42 三. 地方制度
   官治制度と自治制度
50:44 自治の第一の意義――人民政治
53:42 自治の第二の意義――公共団体の行政
57:22 自治の二種の意義の差異および関係
59:25 日本における自治制の発達
1:01:34 自治制の目的
1:06:00 市町村における自治
1:08:19 地方官庁の組織
1:09:00 現行法における各種の地方団体